白血病のど真ん中!中盤編(寛解導入療法〜地固め療法1コース目)

ある日、42度まで熱があがる。でも、その時の記憶はない。 さらに、幻覚をうったえる。「ベッドに押しピンがー!」 当然、あるわけない。


悪寒と熱がひかない日が続く。 季節は夏なのに、毛布を重ね、電気毛布を使う。 それでも、寒気はひどくなり、「寒い、寒い」と体は震える。


熱は下がったが、白血球が少ないため部屋から全く出して貰えない。 トイレも部屋でする。当然、オマルみたいなやつで。 換気の為に窓を開けると注意される。臭い...。さらに、 入院前から痔だと思っていた肛門の潰瘍が刺激を受け、激しく痛む。


お風呂に入れない。当然、シャワーも駄目。一ヶ月以上かな? いつも体を蒸タオル拭くだけ。その蒸タオルから変な臭いがする。びびる。


入院直後の大量の抗がん剤投与と飲み薬のATRAのお陰で、 寛解(白血病は治ったわけではないけど、 普通に暮らせる感じ)になる。でも、寛解のまま、何もしないと再発するみたい。難しい病気だな。




次の治療は地固め療法。3回繰り返す抗がん剤による化学療法。 24時間連続の抗がん剤投与が1週間ほど続く。ガンと一緒に、正常な細胞も殺しちゃう。 輸血が必要なぐらい赤血球や血小板は下がり、白血球も少なくなる。 3週間程度で骨髄機能は回復。また抗がん剤を投与。


肛門の潰瘍もやっと埋まり、痛みもなくなってほっとしていたある日。 悲劇は訪れる。肛門は担当医の先生に毎日チェックされる。、 シャワーに入れない僕は肛門を清潔にするために ウォシュレットを多用していた。 その日、ウォシュレットはなぜかMAX となっていた。「いてっ!」。その後、傷は潰瘍となり、激痛に悩む日々。絶対忘れない。


さらに悲劇は肛門の傷からばい菌が...。 その時、白血球は大きく下がっていた。 熱がでる。39度以上の熱が。抗生剤の点滴をみながら、思う。 もう、ウォシュレットは使わないと。


病院には、生と死の境がある。入院中、何度も親族が大きな声で名前を泣きながら 叫んでいるのを聞いた。ここには生と死がまざりあった不思議な空間がある。 そして、その空間は住人に「死への恐怖」か「生への感謝」を与える。ふと、 生きていることが、すばらしいことだと、 あの声を思い出す度に感じる。


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